腰痛について

腰痛の生涯有病率は、日本では80%以上と言われています。
文字通り身体の「要」となる部位なので、突然痛みに襲われた時は場合によっては生活がストップし、
長く痛みに悩まされる場合は生活の質が著しく低下します。
当院を訪れる方の中でも、最も訴えの多い悩みが腰痛です。

腰痛に対する鍼灸治療の有効性

国際的な推奨
WHOやアメリカ内科医学会(ACP)が、鍼灸を腰痛管理に有効な治療法として推奨しています。

臨床研究
メタ分析(2015年)で、慢性腰痛に鍼灸がプラセボや標準治療より有効と確認されています。
急性腰痛や慢性腰痛の長期的な痛み軽減効果も複数の研究で実証されています。

作用機序
鍼灸は、体内のエンドルフィン(自然鎮痛物質)の分泌を促進し、痛みを和らげる効果があります。
また、筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで、腰痛の原因となる筋肉の硬直やコリを軽減します。

高い患者満足度
副作用が少なく、体に優しい治療法として高い満足度があります。

どうして腰痛になるの?

腰痛の原因はさまざまで、原因を特定できるのはわずか15%程度といわれています。残りの約85%は、検査をしても痛みの原因となる異常が見つからない非特異性腰痛です。
筋肉の問題・仙腸関節や椎間関節など関節の問題・神経の問題・椎間板の問題・加齢など様々な要因が研究されてきました。

よりシンプルに、腰痛を①動かしすぎ(使いすぎ)②動かさなすぎ(運動不足)③その他3つのタイプに分けて考えてみます。

①動かしすぎ(使いすぎ)

肉体作業や激しい運動で、背筋群・臀筋群などの腰周りの筋肉を過剰使用で起こる腰痛です。
原因と結果がはっきりしているので、イメージがしやすいタイプです。

②動かさなすぎ(運動不足)

近年最も多いのがこのタイプで、長時間同じ姿勢を続けることで起こる腰痛です。
長時間のデスクワーク・自動車の運転など同じ姿勢を続けることで、ある一部分に過剰な負担がかかることで痛みが起こります。

例えば腰が丸まった不良姿勢で長時間座り続けると、圧力によって背骨と背骨の間にある椎間板は背中側に動きます。
同時に背中側にある筋肉や靭帯などの組織は伸ばされてストレスがかかった状態になります。
組織に長時間のストレスがかかることで、その部分から痛みを起こすのです。
また同じ姿勢を続けることで、伸びた状態の筋肉と縮んだ状態の筋肉が発生します。
疲労が蓄積したときなどでは縮んだ筋肉が元の長さに戻りにくかったり、伸びた筋肉がさらに疲労を起こすこともあります。

③その他

事故や転倒などの衝撃で、筋断裂や骨折などで腰周りの組織が直接傷つくこともあります。
また加齢により軟骨が変形し神経の通り道が狭くなることで起きる腰痛(脊柱管狭窄症)や、骨がもろくなって背骨自体がつぶれてしまうことで起きる腰痛(圧迫骨折)等もあります。
近年では、整形外科的な形態や機能の問題だけでなく、精神医学的な要因や心理・社会的な要因が複雑に絡まり、痛みを悪化させ長引かせていることも明らかになっています。

当院では腰痛の患者さんを大きく3タイプに分類したうえで、さらに詳しく問題のある個所を探していきます。

自分自身の腰痛経験を通して

私自身も30歳の時に大きな腰痛を経験しています。
その時は、朝の通勤電車から立ち上がることができず、そのまま終点まで行き駅員室に運ばれました。
後日MRI検査をし「腰椎4・5番間の椎間板ヘルニア」と診断されました

当時すでに鍼灸師として働いていて仕事にも穴を開けてしまい、心身ともにダメージを受けましたが、これを絶好の学びの場と捉え、治療やリハビリを通して自分自身の腰痛に向き合うことができたと思おいます。
患者さんたちの辛さも実感を持って体験できた貴重な期間だったと思います。

腰痛治療においては、理想の治療を受ければすっかり治って、未来永劫痛みが出なくなるということはありません。
現在の辛い状況を抜け出した後は、二度と同じ痛みを起こさないようにコントロールしていくものだと思います。

腰痛にならない体を目指して、ぜひ私と共に取り組んでいきましょう!