腕が上がらない・上にあるものを取るのがつらい
服を着る時・脱ぐ時、肩や背中に痛みが走る
夜寝ている時、寝返りを打って肩が下になると痛い
感じたことのない肩の痛みが突然訪れ、「これが五十肩?」と不安に思い来院される方が多く来院されます。
整形外科では骨に異常がなければ、鎮痛剤やシップを出して経過観察となる事が多いようですが、腕は日々使うので、日常生活に大きな支障が出ます。
痛みによって周りの筋肉も硬くなり、動かせなくなることで可動域はさらに狭くなります。
痛い箇所も日によって変わったりもします。
「日常での支障をできる限り少なくしたい」
「治るまでの期間を短縮させたい」
このように考えている方は、一度お問い合わせください。
そもそも五十肩(四十肩)というのは正式な診断名ではなく、壮年期以降に起こる肩の痛みの総称を指します。
同じような病態は他の年代でも起こりますが、4~50代の方では頻繁に起こり尚且つ治るまでに期間を要する傾向にあります。
治療においては様々な病態(筋肉の特定・炎症の程度など)、病期(現在の損傷・回復の段階)を見極め、各人に合った施術をしています。
主な病態
腱板損傷
ボールを投げたり何かを持ち上げるなど、肩関節を動かす時は三角筋・大胸筋・広背筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋といった、サイズが大きくてパワーのある筋肉が働きます。これらは体表からもよく目立つアウターマッスル(外層筋)として、ウエイトトレーニングなどをされる方にはよく知られた筋肉です。
その一方で回旋筋腱板と呼ばれるインナーマッスルも同時に働きます。これらはとても小さな筋肉でパワーはあまりないのですが、運動の効率を良くするために関節の位置を微妙に調整する欠かせない筋肉です。
何か物をとろうと手を棚の上に持ち上げるときなど、無意識のうちに力の出しやすい角度に関節を調節しています。
これら小さなインナーマッスルが使いすぎや過度の衝撃などで傷がついた状態が腱板損傷です。
若い人でも野球選手など肩を頻繁に使うと同じ症状が出ますが、壮年期以降では痛めた場所への血液供給が不足したり、仕事や家事などで体を休めることができないなどの理由から、痛みの出る期間が長期化するケースが非常に多くみられます。
一般的な推移
①炎症期
腱板の損傷により、肩に局所的な炎症が起こります。疼痛は非常に強く、どんな態勢でも何もしていないのに肩がジンジンと痛むという自発痛、夜間に痛みがあって起きてしまう夜間痛などが出現することもあります。
一時的に肩を頻繁に使ったり肩を強くぶつけたなどで起こったり、思いあたるきっかけが無くても慢性的な肩へのストレスの積み重ねで発症します。
この時期の治療方針は局所の炎症が落ち着かせ、痛みによって硬くなっている首・背中・腕・腰など周辺の緊張をやわらげます。
自発痛や夜間痛が強い場合は、整形外科で処方される鎮痛薬が効果的なこともあります。
とにかく炎症が強い場合に局所に強い刺激を加えることは避けます。
②疼痛拘縮期
安静が守られれば1~2週間程度で強い炎症は去ることが多いです。
その後に訪れるのはじっとしていればいたくない(自発痛はない)が、肩を動かすと痛みが走るという疼痛拘縮期と呼ばれる期間です。
この時期には強い炎症は収まっていると考えられます。
痛みの多くは筋肉が急激に緊張していることから発生しているので、適切な強さで強すぎないしげきで硬くなっている筋肉の緊張を緩和していきます。
それと同時に痛みの出ない範囲で関節を動かしていくことも大切です。痛いからと言って肩を動かさないでいると、周りの筋肉が固くなって動かせる範囲(関節可動域)は減っていってしまいます。
自分では怖くて動かせなくても、力を抜いて第三者が動かすことで可動域を少しずつ広げていきます。
③拘縮期
炎症や痛みがほとんど取れた段階でも、長い期間可動域が制限されていたことで、筋肉や関節組織が線維化・拘縮という状態に陥り、本来の関節可動域が戻っていない期間があります。
痛みがないのに動かせない・重さや硬さが残るといった訴えが多くなります。
この期間の治療は、②の疼痛拘縮期よりも積極的に動かしていくことが大切になります。従って多少痛みを伴っても関節を動かしていくようにします。