鍼灸で蓄積型熱中症対策
今年の夏は記録的な猛暑が続いています。
東京都内では猛暑日の最多日数記録が更新され、9月に入っても厳しい暑さが続くことが予想されています。
普通に生活しているだけでも疲労が体内に蓄積する日々。
少しつまづいてしまうと、熱中症を始め大きく体調を崩してしまうギリギリの状態です。
厳しい環境の中でも、身体の健康を維持するため鍼灸にできることを考えていきたいと思います。
睡眠だけでは解消されない ― 蓄積型熱中症とは
近年ニュースでも取り上げられている「蓄積型熱中症」。
これは従来の「炎天下で急に倒れる熱中症」とは異なり、数日間にわたり体に負担が蓄積するタイプです。
特徴は「3日目あたりから強い倦怠感や頭痛、吐き気が出る」こと。
夜にしっかり寝たつもりでも回復しないのが大きな問題です。
なぜ睡眠で回復できないのか
人間は睡眠中に自律神経を整え、体温調節や免疫・ホルモン分泌をリセットしています。
しかし、猛暑の中では
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日中の体温調節で自律神経が酷使され、夜になっても交感神経が優位になりがち
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暑さや寝苦しさで深部体温が下がらず、深いノンレム睡眠が得られない
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筋肉の緊張や血流不良で脳や内臓が休まりにくい
といったことが重なり、「眠っても疲労が抜けない」状態になります。こ
れが蓄積型熱中症の背景にある「睡眠の質の低下」です。
鍼灸で期待できること
鍼灸は体の自然な回復力を引き出す治療法です。特に蓄積型熱中症の症状改善に役立つ理由は以下の通りです。
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筋緊張の緩和 → 血流改善
鍼刺激はこわばった筋肉を緩め、血行を促進します。
血流が整うことで体温調整や老廃物の処理がスムーズになり、脳や自律神経の負担も軽減します。 -
自律神経の安定化 → 睡眠の質向上
鍼灸は交感神経の過剰な緊張を抑え、副交感神経を高める作用が報告されています。
これにより深部体温が下がりやすくなり、入眠がスムーズになり、深い睡眠が得られるようになります。 -
胃腸機能の回復 → エネルギー補給
暑さで落ちやすい食欲や消化機能をサポートし、日中の活動に必要なエネルギーを確保します。
エビデンスから見た鍼灸の作用
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鍼灸治療は心拍変動(HRV)の改善を通じて自律神経を整えることが示されています
[中谷ら, 日本自律神経学会誌, 2010] -
鍼通電刺激によって筋血流が改善し、筋疲労の回復が早まることが報告されています
[Sandberg et al., Eur J Appl Physiol, 2003] -
系統的レビューでは、鍼治療が睡眠の質改善に寄与することが示されています
[Vickers et al., Arch Intern Med, 2012]
これらの研究結果は、「疲労蓄積型の夏バテや熱中症予備群」に対して鍼灸が有効なサポートになる可能性を裏付けています。
睡眠の質を高めるためにできること
鍼灸とあわせて、日常の睡眠環境を整えることも大切です。
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就寝1〜2時間前のぬるめ入浴で深部体温を下げやすくする
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エアコンは「冷やしすぎず25〜27℃」+「湿度50〜60%」を目安に
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寝る前のスマホやPCは控え、ブルーライトで交感神経を刺激しない
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水分は寝る前に少量補給し、夜間の脱水を防ぐ
まとめ
蓄積型熱中症は「睡眠だけでは抜けない疲労」が溜まるのが特徴です。
鍼灸は筋肉の緊張をほぐし、血流と自律神経を整えることで睡眠の質を改善し、身体を回復モードに導くサポートとなります。
猛暑で眠れない、休んでも疲れが抜けない ― そんな時は、生活習慣の工夫とあわせて鍼灸治療を取り入れてみてください。
夏を元気に乗り切るための強い味方になるはずです。
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